◆倉成章裁判長への要請文 2022年5月27日 小見山史子

2022年527
岡山地方裁判所第一刑事部平成30年(わ)第50号法人税法違反幇助・税理士法違反
裁判長 倉成章 様

倉敷民商弾圧事件を許さない西備の会
小見山史子

  最近、「法の支配」という言葉を岸田首相が頻繁に使用しています。ウクライナに不法な軍事侵攻を行うロシアや、香港やウイグル人に対し人権侵害を続ける中国を非難する文脈の中で使用されているもので、この言葉によって首相は、日本が「法治主義をより徹底し、支配者もまた法に支配されるべきである」という理念を掲げる国であると表明しているわけです。その日本において、禰屋さんが被った人権侵害はどのように説明されるのでしょうか。

  禰屋さんへの一審判決が不当であり、禰屋さんへの無罪判決あるいは検察の起訴の取り下げを求める署名が20万筆を超えたと聞きました。20万人以上の人が、禰屋さんが被った冤罪について知り、それに反対する意思を表明したということです。そして、その背後には、数倍あるいは数百倍のサイレント・マジョリティと言われる人々がいるはずです。

 禰屋さんの事件と共に不当判決を下した原審の裁判長の名前が記憶されています。

 地道に働いている人が、ある日突然、犯罪者の汚名を着せられ、何百日も拘留されるという、日本の犯罪捜査の汚点が明らかになり、無実の罪で裁かれるという日本の刑事司法の歪んだ構造が明らかになってきています。
 ところで、警察と検察は、禰屋さんや倉敷民商で働く事務員を逮捕した前後に、強制捜査によって、大量の資材と文書を押収したわけですが、8年以上が経過したにもかかわらず、禰屋さんの有罪を立証できずにいます。それら押収物は今、どうなっているのでしょうか?
 この事件に関わる押収が、有罪の証拠を固めるという目的ではなく、被疑者となった人たちを威嚇するという目的だったのではないのですか? だから、8年の間、きちんと整理されることもなく、言わば死蔵されているのではないですか? その保管には費用がかかっており、その費用は税金が使われています。その責任は明らかにされるべきです。
 増税に反対していたから、禰屋さんを初めとする倉敷民商の事務員がスケープゴートとなったと、私たちは確信しており、今では、その確信を20万人以上の人々が共有しています。

 税と裁判の公正というのは、どのような社会体制においても極めて重要です。まして、憲法において基本的人権が保障されている国においては、尚更です。禰屋さんの裁判を通し、私たちの人権は守られるのだということを示していただきたいと思います。

以上